「数馬居合伝2」

北添数馬と申します。令和から江戸時代に行ってしまい、居合で江戸時代を生きていく物語です。

2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

(11)赤穂浪士の縁者

北添数馬は赤穂浪士が大好きだ。いやいや、悪いのは浅野内匠頭で、吉良上野介は被害者じゃないかと思うが、やっぱり赤穂浪士が好きである。 泉岳寺へひとりで行った。道場の門弟たちと師走の十四日に行ったことがあるが、大混雑していて、あまり落ち着かなか…

予定です。

予定です。日曜日より「(11)赤穂浪士の縁者」から再開します。「★」は、UP済みなのですが、編集の都合で、もう一度アップします(すみません)。どうぞ宜しくお願いします。 北添数馬 ※予定です。話数は増えるかもしれません。 (1)山岡鉄舟に居合を教わる(2)…

休載のおしらせ

読者のみなさま、ご愛読ありがとうございます。 原稿の調整のため、1週間ほどお休みを致します。 北添数馬

(10)スイカと天ぷら

スイカと天ぷらは食べ合わせが悪いことで有名だ。北添数馬は高校生のとき、かき揚げ丼を食べた後にスイカを食べて、猛烈に腹を壊した。 北添道場の門弟がスイカを持ってきてくれた。みんなで食べようということになり、三個貰っているのだが、とりあえず一個…

(メインキャラクターの紹介)

■北添数馬(きたぞえかずま)■主人公。妻子がいる。令和の時代からタイムスリップしてきた。全日本剣道連盟所属、夢想神伝流。居合道三段。江戸で居合を教える「北添道場」を主宰している。やや門弟たちに振り回され気味。 ■鶴見源之丞(つるみげんのじょう…

(9)泉岳寺へ

北添数馬は、北添道場という、居合を教える道場をやっている。こぢんまりとした、ささやかな道場である。趣味でやっているので、月謝はとらない。ときおり門弟から差し入れがある。それは遠慮なく受け取ることにしているが… 師走……門弟から提案があった。「…

(8)大けがと労咳

“同心体験”で世話になっている、鶴見源之丞から、居合を見せて欲しいと言われた。鶴見が住んでいる八丁堀の同心組屋敷に行った。部屋の中なので、全剣連居合の座り技、四本をやることにした。「柄当て」という技をやったときである。後ろの敵の水月を突くの…

(7)銭形平次の子分

銭形平次といえば「岡っ引のアイドル」である。その子分は八五郎。その八五郎が足を骨折してしまい、当分、動けないとのこと。“同心体験”で世話になっている、鶴見源之丞から、「銭形平次の子分をやってみませんか?」と打診があった。岡っ引の子分を「下っ…

(6)女湯の刀掛け

八丁堀(同心が住んでいる)の七不思議のひとつに「女湯の刀掛け」がある。朝方、混雑する男湯の代わりに、与力・同心は女湯に入ることができた。南町奉行所の同心体験で世話になった、鶴見源之丞から、「女湯に入ってみませんか?」と、お誘いがあった。北…

(5)二本差しが怖くて田楽が食えるか!!

「二本差しが怖くて田楽が食えるか!」 北添数馬に向かって、町人が啖呵を切った。二本差しとは侍のことである。間の悪いことに、数馬は小料理屋で田楽を食べていた。この「啖呵」は、何も田楽を食べているときに使うわけではない。「二本差しが怖くて 田楽が…

(4)職業体験 「同心」

南町奉行所で「同心」の体験ができるというので、申し込んだ。町奉行は行政・司法など、守備範囲が広い。北町奉行所もあり、「月番」といって、ひと月交代で業務にあたった。 南町奉行所の門前で「体験を申し込んだ北添数馬です」と告げると、ひとりの同心を…

(3)高杉晋作の企み

北添数馬は、長屋で朝顔に水をやっていた。朝顔の世話をひととおり終えると、刀の手入れを始めた。そこへ高杉晋作がやってきた。「北添さん。おじゃまする」「高杉さん。ちょっと待ってください。いま、ちょうど刀の手入れをしてるところですから」刀の刃に…

(2)坂本龍馬のお願い

北添数馬は、長屋で刀の手入れを終えると、寝ころんで、鼻をほじった。そこへ、坂本龍馬がやってきた。「やあ、北添さん。また、刀の手入れか」「はい。刀は武士の魂でございますからなあ」「あんたも物好きやねや」「坂本さんこそ、わざわざ出向いて来られ…

浪士組、京へ

北添数馬の長屋の部屋は、内職の傘張のせいで、傘が部屋を占領している。梅雨の季節になった。糊が乾かない。張った部分が湿気でふにゃふにゃになる。とても売り物にはならない。他に「楊枝削り」をやっている。100本作って「1文」だ。効率が悪いと思う…

(1)山岡鉄舟に居合を教わる

北添数馬は山岡鉄舟の無刀流の道場に入門した。山岡先生が来る前に道場に到着し、懸命に素振りをする。数馬は一振りするごとに剣の風圧で空気が切れるように感じた。「よう、来たか」鉄舟は突然現れる。音もなく、気配もなく現れては短い会話を交わして帰っ…

沖田総司と木刀で稽古

北添数馬は新選組の屯所で刀の手入れをしていた。そこへ沖田総司がやってきた。「やあ、北添さん、ご苦労様です」「おお、沖田先生。御加減はいかがですか?」沖田は労咳(肺結核)を患っている。「うん、だいぶ良いよ。で、ちょっと訊きたいんだが……」「何…

あとがき

北添数馬のモデルは、もちろん私です。幕末で会いたい人物に会い、こんな体験ができたらいいなと思いながら、自分で書いていて、居合道について考えさせられました。最期は居合神社で演武をして、帰らぬ人となります。北添数馬は幸せだったと思います。居合…

居合道の技「初発刀」解説

本書では、夢想神伝流の最初の技「初発刀(しょはっとう)」を何度か登場させました。この技は居合道の基本かつ奥義の技なので、徹底的に叩き込まれます。この技の稽古だけで終わってしまう、ということがよくあります。細部は異なるのですが、全日本剣道連…

居合道の技「顔面当て」解説

居合道の技「顔面当て」解説 北添数馬の得意技が全剣連居合の「顔面当て」です。その解説をします。 (解説) 注意点です。・柄頭を当てるのは敵の両目の間です。中心線が人間の急所であり、左右にずれてはいけません。・鞘ごと突き出すときに注意しないと、…

(57)北添数馬 外伝「山岡鉄舟、高山へ」

北添数馬は山岡鉄舟に手紙を書いた。幼少期を過ごした飛騨高山に行きませんかと。そして、体育施設を借りるので、無刀流の居合の御指南を…数日して返事が来た。かなり喜んだようで、是非行こう、ということになった。 上野の西郷さんの銅像の前で待ち合わせ…

(56)北添数馬 外伝「弔い」

北添数馬は考えていた。「このまま終わっていいのだろうか」と。幕末維新で大きく関わった人物は山岡鉄舟と西郷隆盛である。山岡先生には北添道場の顧問としてお世話になったし、鉄道も一緒に乗った。履物をプラットホームに置いてきて… 思い出すだけでも面…